スポーツジム会社ランキング

スポーツジム業界の銘柄分析とランキングです。東京五輪(オリンピック)や運動が好きなシニアの増加が追い風。小型ジムが増加し、市場規模5000億円の大台へ。経済産業者、スナップアップ投資顧問、フィットネスビジネス、SBI証券などの資料よりまとめました。

<ジムの売上高ランキング(2018年度推計)>
順位 ジム(運営会社) 売上高
コナミ
(コナミHD)
720億円
セントラル
(セントラルスポーツ)
520億円
ルネサンス
(ルネサンス)
430億円
ティップネス
(日本テレビHD)
350億円
RIZAP
(ライザップ)
300億円
LAVA
(ラバ・インターナショナル)
230億円
カーブス
(コシダカHD)
200億円
オアシス
(東急不動産HD)
170億円
メガロス
(野村不動産HD)
150億円
10 ゴールドジム
(THINKフィットネス)
140億円
11 ホリデイ
(東祥)
140億円
12 アクトス
(バローHD)
100億円


業界レポート「小型ジムの急成長」

2010年代、スポーツジム(フィットネス)業界は「小型ジム」が急成長した。従来はスポーツクラブといえば1000坪が標準的だった。しかし、40~70坪程度の小規模施設が一気に増加。主にフランチャイズ方式で全国に店を増やした。

エニタイムフィットネス

最近、仕事帰りの男性が平日夜によく通うのが、駅前にある小型ジム。その一つが、マシンジムに特化した米国生まれのフィットネスクラブ、エニタイムフィットネスだ。

エニタイムフィットネスの店内にはランニングや筋力アップなどのトレーニングマシンがずらりと並ぶ。皆、黙々と汗を流している。その光景は深夜まで続く。

エニタイムは24時間・年中無休。いつでも好きなときに行けるとあって、20~40代の忙しいビジネスマンの間で人気となり、都心で店舗を急拡大させた。

カーブス

一方、主婦に人気があるのが、別の小型ジム「カーブス」。午前中から多くの中高年女性でにぎわう。女性専用である。30分間、休まずにさまざまなトレーニングを行う「サーキットトレーニング」を売り物としている。

アメリカ生まれの「サーキットトレーニング」

円状に並べられた10台くらいのマシンを使い、音楽に合わせながら体を動かしていく。2周して、最後にストレッチをすれば完了だ。

アメリカが母体のカーブスは2005年に日本に参入。店舗数は全国で1500を超えた。運営会社FAST FITNESS JAPAN。東海や九州にも進出し、集中出店を進めている。

カーブスはショッピングモールへ

カーブスの場合、週2~3回、500人の主婦の集客が見込める。このため、ショッピングモールや商店街などから引き合いが多い。



市場規模4200億円

スポーツジム(フィットネスクラブ)の市場は2010年代に10%程度拡大し、4500億円規模になっている。一方で、店舗数は4000店に倍増した。この原因となったのが、小型クラブの増加である。

プール、マシン、スタジオの3点セット

業界最大手のコナミスポーツを筆頭に、セントラルスポーツ、ルネサンスら老舗が手掛けるジムは、プール、マシン、エアロビクスなどを行うスタジオの2点セットをそろえていた。いわば“百貨店”。露天風呂やジャグジーをウリにする店もある。

ところが、そうした総合型に入会しても、「月1万円以上する会費に見合うほど設備を使い切れない」ことを理由に退会する人も少なくなかった。

3点セットうち、コストがかかるのがプール。まずこれが削減の対象になった。ウエートトレーニングに定評がある米国発のゴールドジムは「プールなし」とすることで店舗運営のコストを抑え、都心部を中心に堅調に業績を伸ばした。

小型ジムは会費7000円

新興勢による小型クラブはマシンジムや特定の運動に特化している。いわば専門店である。月会費は総合型の6割程度(6000~7000円前後)なので「ジョギングはしたいけどプールは要らない」「決まった運動を続けたい」など目的がはっきりしている人にとっては、コストパフォーマンス(コスパ)が良い。

クラブ側にもメリットがある。初期投資や月々の運営費がいずれもローコストで済むのだ。

総合型は一般的に、1000坪の施設におよそ10億円を投じて10年で回収するビジネスモデル。スタッフも手厚く配置する。

人件費率20%

これに対して、小型クラブの場合は、既存のオフィスビルや商業施設にテナントとして容易に入居することができる。初期投資は総合型の10分の1にも満たない。人件費率も20%くらいと低い。

深夜は無人の24時間ジム

24時間ジムは受付もなく、入退店はICキーで行い、深夜帯は無人。代わりにくまなく防犯カメラが設置されている。

女性専用だから「男性の目を気にしなくていい」

小型クラブの登場により、これまでジムに行かなかった人も通うようになった。中でも女性専用のジムは、女性客の開拓に貢献した。

カーブスの場合、会員も女性だが、スタッフも女性だけである。このため、男性の目は気にしなくていい。

「鏡なし」が人気

鏡がないから運動に苦手意識を持つ人も、恥ずかしくない。この鏡がないというのは、意外と大きな魅力だったようだ。本来は鏡を見ながら姿勢やフォームを改善するのが、運動するうえでとても大切である。しかし、自分の姿を見たくなかったり、鏡越しに自分の姿を見られたくない人も、実は大勢いたのである。

暗闇が大ヒット

同じような発想で、「暗闇フィットネス」も流行した。暗闇だと、汗だくで激しく動いている姿を人に見られる心配がない。これが女性の心をつかんだ。

ホットヨガスタジオも女性専用

2010年代に急増したホットヨガスタジオも、大半は女性専用になっている。

スタジオに男性がいると、どうしてもお尻を後ろに突き出したり、大きく開脚したりするポーズをするのを躊躇(ちゅうちょ)したくなる。女性だけなら、どんなポーズも遠慮なくできる。



ジム会員は国民の3%

日本人のうちジムに通う人の比率(のフィットネスクラブ人口)は3%程度で長年、伸びていない。大手は限られたパイを奪い合い、価格競争に陥っている。会員の高齢化も進んでいる。

アメリカは20%

一方、アメリカは比率は20%と高い。肥満率が高いこともあって、クラブ人口はもともと高い。政府が定める健康保険がなく、病気になったら治療費に膨大な費用がかかる場合が多いため、予防のためにジムに通うという人も多い。

こうした事情に加えて、小型ジム・専門ジムが登場したことで、さらにジム人口が増えた。

ライザップの台頭

日本のジム業界においって、著しい成長を遂げたのが、ライザップである。短期間でのダイエット成功と肉体改造を提唱。極端な食事制限をさせることで、短期間で痩せることを「保証」するという新しいビジネスを展開させた。

コナミの会員プラン変更

最大手のコナミは大幅な料金改定を行った。2013年夏、利用頻度と施設カテゴリー別に16通りから選べる新プランを導入。顧客満足度を高めて退会を減らし、新規会員も獲得するのを狙った。

シニアは値上げ

しかし、この料金改定はあまり成功しなかった。シニアを中心とした一部のヘビーユーザーにとっては実質的な値上げとなった。そのため2014年春からは60歳以上専用料金プランも投入。また、初心者向け少人数制スクール「OyZ(オイズ)」の拡大も図った。

ルネサンスはデイサービス「元気ジム」

業界3位のルネサンスは、シニア層への対策をより強固に打ち出した。独自の運動プログラムを目玉にしたリハビリ特化型デイサービス「元気ジム」を全国で展開。介護ビジネスを拡大させた。

ベトナム進出

また、海外へも活路を求め、2014年秋にはベトナム・ホーチミンに最新設備を有したフィットネスクラブをオープン。欧米企業も手付かずの地で、市場開拓に取り組んだ。

ティップネスは「ファストジム24」

ティップネス、メガロス、ルネサンス、セントラルなどの既存ジムは、従来の総合型のクラブとは別に、小型ジムの運営を始めた。

ティップネスは24時間の小型ジム「ファストジム24」を首都圏に続々と出店した。

大型ジムの場所確保が困難に

建設費の高騰や立地不足により、大型のジムを新規で出店するのは一段と難しくなっている。そうした事情が、小型クラブの出店ラッシュや多角化に拍車を掛けた。



業界再編

スポーツジム(フィットネスクラブ)の多くは大企業の子会社になっている。1980年代、1990年代に多くの大企業が事業の多角化や不動産の有効活用を目指して、参入してきた。

バブル崩壊後、そうした案件が売りに出され、合従連衡が繰り返された。その結果、コナミ、セントラル、ルネサンスなど大手による寡占化が進んだ。こうした動きは2010年代も続いた。

セントラルがザバス買収

例えば、2013年に「ザバス」を運営する明治ホールディングス(HD)がセントラルに、2014年にサッポロHDがダンロップスポーツに、それぞれフィットネス事業を売却。

日テレがティップ買収、ドゥがNスポ買収

2014年末には、サントリーHDが社内ベンチャーとして創業したティップネスを、日本テレビHDに売却した。理由は本業に集中するためだ。また、ダンロップがキッズを買収した。

2019年には、砂糖メーカーが運営する老舗ジムのドゥスポーツが、中村屋の「NAスポーツクラブ」を買収した。フィットネス事業を売却したい企業はまだ他にも多数あるとみられ、案件争奪戦も進む可能性が高い。

<ジム各社の再編と新規事業の動き>
ジム 概要
コナミ
(旧ピープル、エグザス)
  • ・料金プランを利用頻度別に大幅改定
  • ・シニア向け運動教室を120店以上展開予定
  • ・2001年マイカルからコナミ傘下に。
  • ・ダイエー、住友金属工業、NTT西日本、日本生命保険、阪急電鉄などのクラブを次々と譲り受け、業界最大手に
セントラル
  • ・2013年、明治スポーツクラブを子会社化。2015年度は売上高500億円超の見込み
  • ・小型ジムに参入、東京・神田に「ジムセントラル24」を出店
ルネサンス
  • ・リハビリ特化型デイサービス「元気ジム」を積極的に出店拡大
  • ・ベトナム・ホーチミン近郊のイオンモール内に出店
  • ・キッコーマン、帝人、住友商事、三菱地所などのクラブを譲り受ける。
  • ・2014年には親会社DICの資本が17%に低下した。
ティップネス
  • ・2014年、サントリーから日本テレビ傘下に
  • ・小型ジムに本格参入。「ファストジム24」の100店展開を計画
  • ・買収劇は今後も続く! 近年の主なM&A
NAS
  • ・ベンチャーキャピタルを経て2005年、大和ハウス工業傘下に
ダンロップ
  • ・2014年、サッポロスポーツプラザ、キッツなど2社を買収