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「ボランティア活動に対する
社会的な支援策に関する提言」について

(1995年6月21日)

  ボランティア活動の推進に関する様々な提言活動を行うことは、「広がれボランティアの輪」連絡会議設立の大きな目的の一つです。連絡会議では、平成6年の設立後から「ボランティア活動に対する社会的な支援のあり方」をテーマに、ボランティア活動を実践・推進する側、ボランティア活動を受け入れる側、ボランティア活動を支援する側など、様々な立場の者が共通のテーブルにつき、それぞれの活動についての報告や協議を重ねることで、問題点を共有し、相互理解を深めてきました。
 
 わが国では、福祉、教育、環境、国際など幅広い分野におけるボランティア活動が行われていますが、これからの日本社会の国際化、多様化を考えると、国内外を問わず様々な市民レベルの活動や交流が広がり、発展していく必要があります。そのためにはボランティア活動の実施・推進に直接関わるものを始め、教育、経済、労働、行政関係者、そして市民の参加による開かれた協議と合意づくりを積み重ねていく息の長い取組を通して、多くの課題を解決していく必要があります。
 
 ボランティア社会の創造に向けた幅広い、社会的な議論がさらに進められることを願い、これまでの私たちの協議を「ボランティア活動に対する社会的な支援策に関する提言」としてまとめました。

▲UP

 

 

1.ボランティア活動への関心や理解を深めるための広報・啓発活動を展開し、ボランティア活動への参加や支援がより円滑に行われるよう市民の意識の醸成を図る必要がある
 
  ボランティア活動が人々の日常生活に根づいたものとなるため、ボランティア活動についてのきめ細かな広報・啓発活動が重要である。
 
 そのため、地域社会、職域等においてボランティア活動に関する広報・啓発活動に取り組むとともに、全国・広域レベルにおいて公共放送、民間放送、マスコミ、行政機関等が一層積極的な役割を果たすことが期待される。
 
 また、ボランティア活動への認知、評価を広めるため、活動の実績や効果のアピール、活動する者に対する適切な評価、支援も必要である。

2. ボランティア活動を学校教育のカリキュラムに位置づける等、幼いころからボランティア活動への理解、関心を育むことが必要である
 
 幼少期からボランティア活動を通じて様々な人々との出会いや交流の体験を持つことは、自律的に社会に関わる成熟した市民意識と実践力を育み、青少年の豊かな人間形成につながるなど、教育的な効果も大きい。
 
 また、教職員がボランティア活動への理解を深められるような必要な研修・学習を設ける等、学校においてボランティア教育を進める中核となる人材の育成が必要である。

3. 労働時間の短縮、ボランティア休暇・休職制度、学校週五日制の普及等、ボランティア活動へ参加しやすいゆとりある社会の創造が必要である
 
 多くの人たちがボランティア活動への参加を希望しているが、実際にはなかなか参加できないでいる。その理由としては、忙しくて時間がないことがあげられている。
 
 そのため、労働時間の短縮やボランティア休暇・休職制度、学校週五日制の普及を図ること等によって、ボランティア活動へ参加しやすいゆとりある社会を創造することが必要である。

4. ボランティア活動やボランティア団体についての情報を誰でも簡単に入手し、共有できる仕組みが必要である
 
 現状では、市民が参加を希望してもどのようにしたらよいのか分からない、という問題がある。また、市民、企業、助成財団等がボランティア団体へ支援を行う際も、どのような団体が支援の対象として適切か分からないという声も聞かれる。これは、ボランティアに関する活動や団体についての情報が簡単に入手できないためであり、それが、ボランティア活動への社会的認知の向上や市民の参加促進、社会的支援の広がりを図るうえでの障害となっている。
 
 そのため、ボランティアグループ、団体自らがより積極的な情報提供につとめるとともに、パソコン通信、情報センターの機能の充実等により、誰でも簡単に情報を入手し、共有できるような仕組みを作る必要がある

5. ボランティア活動への参加を希望する人たちに対して様々なきっかけづくりを進めるとともに、多様な活動の場を開拓し、提供する必要がある
 
 活動参加のきっかけが少ないことも参加している人が少数にとどまっている理由のひとつである。そのため、ボランティア活動推進団体と学校、企業、労働組合等が協力して、一人ひとりが自分の興味・関心にあった活動を見つけ、自然に活動に参加することができるよう、体験プログラムの実施など多様なきっかけづくりを行う必要がある。
 
 また、社会福祉施設、病院、学校、図書館、博物館等、社会サービスに関わるより多くの施設・機関と連携を強め、積極的にボランティア活動の場を開拓する必要がある。

6. ボランティア活動推進・支援の拠点であり、市民への相談窓口となるボランティアセンター等の整備や機能強化を図る必要がある
 
 ボランティア活動に関する情報提供、相談、研修、活動プログラムの開拓、関係機関のネットワークづくりなど、ボランティアセンターの役割は大きい。したがって早急にその整備、機能強化を図る必要がある。
 
 また、ボランティアセンターは、市区町村社会福祉協議会やボランティア活動推進団体、学校、企業、労働組合、社会福祉施設、病院等、様々な機関・組織に設置されることが望ました、その促進を図らなければならない。

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7. ボランティア活動の推進・発展には、ボランティアコーディネーター、ボランティアアドバイザーの養成・設置が急がれる必要がある
 
 ボランティア活動を行う人の自発性と活動意欲を最大限に尊重しつつ、ボランティアの支援を必要とする人々との結び付け、活動先の紹介や専門職、行政機関等との調整、適切な活動プログラムの開発などを行う、専門性の高いボランティアコーディネーターが必要である。
 
 そのため、ボランティアコーディネーターの養成・研修プログラムの充実を図り、高い資質を持つボランティアコーディネーターの養成と設置促進を行う必要がある。
 
 また、身近なところでボランティア活動に関する相談・助言にあたるボランティアアドバイザーの養成・設置が必要である。

8. ボランティア団体の支援にあたっては、団体の運営経費に対する支援も考慮されるべきである
 
 ボランティア団体が社会的に意義のある活動を継続的に展開するためには、優れた資質を持つ有給職員の雇用、様々な分野の専門家の参画、連絡事務所やたまり場の確保・維持など、相当の経費が必要となる。しかし、ボランティア活動が無償、非営利の行為であることから、市民の間にはボランティア団体の維持・運営についての誤解が根強く、ボランティア団体の運営経費の必要性に対する認識が薄い。また、助成が行われる場合も、直接の活動に要する経費に対してのみ行われ、その活動を行うための人件費や管理運営経費は除外されることが多い。
 
 市民、民間助成財団、企業、共同募金、公共的基金、行政等による支援は一層強化される必要があるが、支援が行われる場合には、運営に要する経費についても適切に考慮されることが必要である。
 
 また、支援に応えるために、ボランティア団体としては事業の適正な実施、効率的な運営に努めると同時に、必要に応じて情報公開をすることは当然である。

9. ボランティア団体に対する社会的な認知のため、ボランティア団体に相応しい法人制度の創設を積極的に検討する必要がある
 
 現行の公益法人制度は、設立、認可における要件、運用が非常に厳しく、一般的に民間団体が法人格を取得することは極めて困難である。その結果、相当の活動実績があるボランティア団体であっても、法人格が無いために、ともすれば団体としての財産の保有、契約等が行えない、公益機関や団体からの支援の対象として認められないなど、様々な困難がある。そのため、多様な広がりを持つボランティア団体の活動を幅広く認知し、ボランティア団体に相応しい法人制度の創設を積極的に検討する必要がある。
 
 新たな法人制度は、ボランティア団体の多様な価値観を幅広く認知するために、明確な基準・手続きによって、より簡易に取得できることが望ましい。
 
 また、法人制度の検討にあたっては、広く市民に開かれた協議と合意形成を行う必要がある。

10. 適切な運営がされているボランティア団体が寄附金控除団体として取り扱われる等、税制優遇措置の認定の道を開き、広く市民によって支えられる仕組みをつくる必要がある
 
 ボランティア団体の活動は、本来、市民の理解と共感にもとづく支援によって支えられることが望ましいが、現行制度では、相当の活動規模・実績があるボランティア団体であっても寄附金控除の対象となることは極めて困難であり、財政面の確立が図りがたい。
 
 そのため、適切な活動・運営がされているボランティア団体については、寄附金控除団体として取り扱われる等の税制優遇措置の認定の道を開き、広く市民によって支えられる仕組みをつくる必要がある。

11. 小規模、未法人の団体への支援システムの開発が重要である
 
 法人制度、税制優遇措置は大変重要な基盤整備であるが、法人運営や税務処理等を行うほどの規模には至らず、未法人のままに止まる団体も多数あると考えられる。
 
 支援を希望する団体と支援提供者との仲介、活動展開における専門的アドバイスや研修等の機会の提供、他団体とのネットワークづくり、行政や専門機関等、関係機関との橋渡しの支援等、小規模、未法人の団体であっても必要な支援が受けられる支援システムの開発が重要である。

 

   
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