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子どもがかわる、学校がかわる、地域がかわる
〜子どもたちの
豊かなボランティア体験学習・活動のための提言〜

(1998年6月18日)

<目次>
はじめに
1. ボランティア体験学習・活動によって目指すもの
2.関係する人々、団体の役割
3. 基盤整備、条件整備の課題
4.学びの要素とプログラム展開上の留意点

 

はじめに

 子どもたちがボランティア体験学習・活動をとおしてさまざまな人々や社会の現実にふれ、多くのことを学び、成長することを、私たちは実感しています。また、少子・高齢化、環境、国際化問題など、国内にとどまらずさまざまな国々に関わる複雑な課題が増大している今日、一人一人の主体的なボランティア活動は世界共通の関心事になりつつあります。
 
 現在わが国で進められている教育改革は、2002年からボランティア体験学習を基礎的な学校教育に位置づけられる方向で検討が続けられています。私たちボランティア活動推進に関わる者としては、このような改革の方向を歓迎いたします。
 
 しかし、ボランティア体験学習が学校教育の中だけで行われ、先生方だけが孤軍奮闘するのだとすれば、活動の広がりや内容は豊かなものとはならず、その本来のねらいとする効果は十分には期待できないと思えます。
 
 私たちは、ボランティア体験学習によって子どもたちの社会的視野が広がり、主体性が育まれ、やがては自らの意思でさまざまな活動に取り組んでもらうことを願っています。
 
 そのためには、親や地域の人々、さまざまな団体・機関が、子どもたちを育むことを自分たち自身の共通の問題、責任としてとらえ、教育関係者とともに協力して必要な条件を整え、より豊かな活動をつくりだしていくことが大切です。また、何よりも大人たちが社会のさまざまな問題に関心を持ち、自らボランティアとして活動し、子どもたちとともに考え、活動の楽しさや達成感を分かち合うことができるよう、社会全体の機運づくり、環境づくりに取り組むことが求められます。
 
 私たちは、このことに大きく貢献できる可能性をもっており、また責任があると考えます。
 
 この提言は、ボランティア活動推進団体として自分たちは何ができるのか、行動する意思があるのかを明らかにするとともに、さまざまな人々とともにボランティア体験学習・活動を進めるうえでの考え方や方策をまとめたものです。ボランティア体験学習・活動を接点とし、子どもたちを育てることに関わる全ての関係者の参加による取り組みの輪が、社会全体に大きく広がるよう、この提言がその出発点となることを望みます。

<用語について(この提言では以下のようにしてあります)>

「ボランティア体験学習」 ・・・ ボランティア活動についての(あるいはボランティア活動的な体験を素材とした)体験的な学習活動。学校が主体となって教育課程の中で行われる場合と、ボランティア活動推進団体などが主体となって行う場合がある。
「ボランティア活動」 ・・・ 子どもたちが自主的・自発的に行うボランティア活動
「ボランティア体験学習・活動」 ・・・ 両者をあわせたもの。

 

▲UP

 

 

1.ボランティア体験学習・活動によって目指すもの
−共に生きる力と心を育てる

(1) 子どもたちに身につけてほしいこと

 ボランティア体験学習は、ボランティア活動へ参加してもらうことだけを目的とするものではありません。また、ボランティア活動は、決して誰かに何かをしてあげる、という一方的な行為ではありません。
 
 ボランティア体験学習・活動では、自分とは異なる生活や価値観を持つ他者と出会い、共感したり、葛藤したりという相互の関わりを経験することによって、他者や自分自身を大切にすることとはどういうことか、他者とかかわるとはどういうことか、自分自身がどういう考えや力をもった人間であるのかに気づき、考え、試行錯誤していく営みが大切です。
 
 情報化が進み、物が豊かになるにしたがって、逆に子どもたちは生きる意味や目的を見失いがちになっており、また、他者と深く関わることをさける傾向もあるといわれています。
 
 わたしたちは、ボランティア体験学習・活動を通して、子どもたちが次のような経験、気づきをしてもらいたいと考えます。
 
●この社会にはさまざまな人がいて、さまざまな生き方や生活があり、それぞれに喜怒哀楽があることを知り、感じ取ること。競争や物の豊かさとは違う価値観と多様な生き方があることに気づくこと。

●自分自身を見つめ、自分を大切な存在として気づくこと。また、そのことを通じて、誰もがかけがえのない存在であり、地域や社会の構成員として担うべき大切な働きをもっている「人」であること(人権や命の大切さ)に気づき、考えること。

●自分とは違う考え方や価値観をもつ人々に向き合った時に、自分を表現し、意見をかわし、共感したり、違いを違いとして認めるという経験を重ねること。

●社会(地域、地球全体)のさまざまな課題に気づくこと。

 こうした経験を積み重ねることによって、子どもたちが自分を見つめ、生きる目的や意味を考え、ともに豊かに生きていくための技術や力、心を身につけてくれること、子どもたち自身も社会をつくる主体であることに気づき、自信を深めていくこと、そして、社会のさまざまな課題に関心を持ち、その解決にむけてやがては一人ひとりが主体的に参加し、行動していくことを願います。

(2) 学校、家庭、地域社会にとっての意義
 
 ボランティア体験学習・活動は、単に子どもたちに変容をもたらすだけではありません。子どもたちがいきいきとすることによって、学校を変え、家庭を変え、やがては地域、社会全体をも変えていく大きな力を持つものです。
 
−学校にとって−
 
子どもたちがいきいきと、学校の内外でさまざまなことに取り組む姿を目の当たりにすることで、教室の中だけでは十分に気づくことのできない一人ひとりの子どもの個性や成長の可能性に先生たちが目を向け、認めることができる。
このことによって、先生たちは自然に「子どもたちと一緒に考え、歩んでいく」ようになっていく。そのなかで従来の学校教育の方法や価値観・評価観が自然に変化していくことが期待される。
豊かなボランティア体験学習・活動を展開しようとすれば、どうしても地域社会、親(家庭)の参画をもとめることが必要になる。これまでの学校の教育活動を地域社会や家庭に開いていくことが期待できる。

−家庭、地域社会にとって−
 
子どもと一緒に活動したり、子どもが学んだことを話し合うことによって、親子が話しあったり、考え方・価値観をぶつけあう機会が開かれる。
ボランティアとして子どもと一緒に社会のさまざまな問題に関わることは、大人たち自身にも新しい出会い、生き方の発見の機会をもたらし、自己実現や生きがいにつながる。
子どもの問題は人々を結びつける共通の接点となりやすい。これによって、親たちをはじめとし、高齢者、障害者や外国籍の人なども含むさまざまな立場の人々の交流や結びつき、団体・機関のネットワークを生みだし、コミュニティが活性化されるきっかけとなる。

 ボランティア体験学習・活動は多くの人々の関わりやネットワークを広げる可能性をもつものです。これが学校、家庭、地域社会をつなぐ大きな接点となって、社会全体としてより多くの人々が子どもたちを育てることに取り組む、という教育本来の姿に近づけるきっかけとなることを期待しています。

▲UP

 

 

2.関係する人々、団体の役割

  ボランティア体験学習・活動は、本来、学校教育の中だけで完結するものではありません。子どもたちを育てる責任を学校だけが背負うのでなく、家庭、地域の人々、関係団体・機関がそれぞれの役割と責任を分担し、学校もその役割が果たせるよう、地域全体で取り組むことが大切です。
 
 また、いったん教育の制度として動き始めると、学校側も関係者との協議や、十分な内容の吟味がされないままに動いてしまいがちです。学校は、家庭、地域の人々、関係団体・機関と十分に連携し、それらとのネットワークを築く中で取り組みを進めることが大切です。
 
● 地域社会に出ていくことによって、子どもたちが社会のさまざまな現実、生き方、価値観にふれ、社会のなかでの役割や責任を学べる。まず、地域社会こそが学びの場であることを関係者が共通に理解し、子どもを育てることに地域社会全体で取り組むことが大切である。

●災害時に見られたように、学校にはコミュニティを結びつけ、再生するすばらしい力がある。学校、教育行政関係者は、地域の教育活動やボランティア活動の拠点としての学校の機能を強めていく必要がある。

●学校におけるボランティア体験学習には、地域のボランティア活動推進団体をはじめとする諸団体、親やさまざまな地域の人々が積極的に参画することが大切である。

●学校を離れたさまざまなボランティア体験学習、ボランティア活動の場やプログラムをつくりだしていくため、学校、地域の関係者がともに取り組むことが求められる。

●親自身も子どもたちと一緒に参加し、活動するなかで、自分たち自身もとまどい、悩み、考え、喜び、活動の難しさや楽しさを子どもたちと分かちあう。また、ボランティア活動への参加をとおして積極的に社会に関わる。

●特にボランティア活動を推進・実施する団体、グループは、ボランティア体験学習・活動を広めることに大きく貢献でき、またその役割がある。積極的に学校に関わり、学校と地域社会とをつなぐことが求められる。

▲UP

 

 

3.基盤整備、条件整備の課題

(1) 学校の推進体制の整備や機能強化のために
 
●学校の体制整備や情報発信
 
 学校側にも地域との窓口となる担当者(コーディネーター)を明確にすることが求められます。
 
 また、地域に積極的に情報を発信したり、例えば、地域のボランティアなどの人材の登録システムを整備するなど、教科や特別活動の指導や体験学習の実施により多くの地域住民や団体などが関われる体制をつくることが必要です。
 

●活動や交流機会を日常化するため学校の機能を地域に開く
 
 ボランティア体験学習が学校から離れた特別な時、特別な場所で行われるだけでは限界があります。学校の施設や空間が地域サービスの拠点としてより一層活用される中で、地域のさまざまな人々が日常的に学校を訪れ、子どもたちと交流できる環境が生まれます。
 
 例えば、学校と社会福祉施設の合築、空教室などを利用したデイサービスや溜まり場づくり、学校給食施設の地域の配食サービスへの活用など、学校施設や機能を地域サービスに活用、転換することが求められます。
 
 なお、その際、学校側に負担とならないような管理運営体制が検討されることが必要です。
 

●教員の体験・研修の充実
 
 教育制度として展開される以上、教職員のボランティア活動への理解を高めていく取り組みが求められます。
 
 体験プログラムをはじめとし、ボランティア活動推進団体での短期・長期の研修など、継続的・体系的な研修が行われることが必要です。

(2) 地域の推進基盤の整備、社会全体での取り組みのために
 
●地域レベルでの推進、コーディネートの仕組みづくり
 
 例えば、地域のボランティア活動推進・受け入れ団体、学校、自治会、その他の関係団体・機関がお互いの年間の活動のスケジュールを共有し、協力していくだけで、幅の広い活動が展開できます。
 
 これら諸団体による定期的な情報交換、共同のプログラムの開発、人材の交流や共有などが行えるよう、推進組織やコーディネート機能を設ける必要があります。
 

●親子で活動できるプログラム、休日に活動できるプログラムの開発
 
 ボランティア活動の推進団体は、親子の体験プログラムなどをより積極的に展開する必要があります。
 
 特に、学校五日制が完全実施されると、土曜日・日曜日の活動の可能性が大きく開かれます。今から、こうしたプログラムを開発していくことが望まれます。
 

●大人たちが活動に参加しやすい条件整備

 
 残念なことに、わが国では大人たちが積極的に地域社会に関わるという文化が次第に弱くなってきています。子どもたちだけにボランティア活動をというだけでなく、大人たち自身が普段の生活の中でのボランティア活動をつうじて、積極的に社会に関われる条件整備を進める必要があります。
 
 そこで、人々の興味や関心、ライフスタイルの違いに応じた、参加しやすく、魅力的な活動プログラムづくりが求められます。
 
 また、企業、労働組合などが、勤労者や退職者の地域活動・社会参加活動を積極的に認知、支援し、労働時間の短縮や休暇制度などの普及、啓発プログラムの実施、ボランティア活動推進団体などへの人材派遣などが行われることを期待します。
 

●プログラムの実施費用の社会的な負担や支援
 
 質の高いプログラムとなるための受け入れやコーディネートのコストが十分に認識されておらず、もっぱら施設やコーディネート機関の負担となっています。
 
 これらの経費については、参加者の負担、寄付、共同募金、各種助成金、公的助成など、社会全体で負担し、支えていくことが必要です。
 
 また、プログラムの効果について、これまでは必ずしも検証されてきているわけではありません。ボランティア推進団体としてこの点を明らかにしていく責任があるとともに、多くの研究がされていくことを期待します。

<ボランティア体験学習とボランティア活動と関係者の連携>

ボランティア体験学習とボランティア活動と関係者の連携

▲UP

 

 

4. 学びの要素とプログラム展開上の留意点

 ボランティア体験学習をしさえすれば、誰もが思いやりのあるよい子になる、というわけではありません。子どもたちが興味・関心をもち、主体的に学習し、活動することにつながるためには、よく考えられたプログラムと、適切な関わりが必要になります。
 
 私たちのこれまでの経験から、学ぶということはどのような要素からなりたっているのか、実践展開にあたってどのような留意が必要なのかをまとめました。
 
 豊かなプログラムとなるためには、さまざまな人々が関わり、協働することが必要です。この提言が、プログラムのコーディネートや企画・実施、子どもたちへの助言にあたる学校の先生方、ボランティア活動推進団体・機関の職員やリーダーの方々の共通理解をたすけ、協力した取り組みが始められるきっかけとなることを望んでいます。

(1) 学びの要素
 
 私たちの経験から、ボランティア体験学習やボランティア活動の中で、子どもたちは次のように「体験・活動」によってさまざまなことに気づき、感じ、それらを「振り返り・学習」することによって、さらに次の課題に向けた活動と学習を繰り返し、成長していきます。このことが十分に理解され、プログラムが企画・展開される必要があります。

<ボランティア体験学習の全体像>

ボランティア体験学習の全体像

●学びの要素
 
感じる、気づく
 
 「これまで知らなかった現実に気づく」「疑問・関心を持つ」「自分の先入観に気づく」「一人ひとりの違いに気づく」など、今まで知らなかった現実にぶつかり、関心をもったり、行動したりするきっかけをえる。
 
考える、表現する
 
 自分が体験学習や活動を通じて感じたことについて、自分の言葉で考え、表出し、また、それを他の人と話し合う。
 
知る、理解する
 
 漠然と感じていたことや疑問について、さまざまなことを調べ、学習して、正しい知識をえたり、仕組みを理解する。
 
 また、考え方を話し合うことなどを通じて、自分の考え方を整理して納得したり、個々人の考え方の違いを違いとして認めあう。
 
行動する

 

 自分たち自身に何ができるか、どうしようか考え、計画をたてて、実際に行動してみる。

(2) プログラムのコーディネート(企画・実施や助言)にあたっての留意点
 
 ボランティア体験学習・活動の実践においては、次のような点に留意する必要があります。
 
ボランティア活動は「しなければならないものではない」「一方的にしてあげることではない」ことを十分理解する。
 
 目的や意義が不明確なままただ作業に動員されたり、単に課題として与えられてしまうだけでは、かえって強制感が残ってしまうことも心配されます。事前の動機付けや振り返りなどによって、活動についての意義を感じたり、次の活動への目標がもてるような関わりが大切です。
 
 その際、ボランティア活動はあくまでも自発的なものであり、誰かに強制されて「しなければならないものではない」ことが十分に理解されていることが大切です。
 
 また、ボランティア活動は「誰かに対して一方的に何かをしてあげること」ではありません。誰もが人として持つ願いに共感しながら、それを阻む障害を取り除くために一緒に努力し、歩んでいく営みです。人と人とのかかわり合いのなかで、そうしたことに子どもたちが気づくような問いかけ、なげかけが大切です。
 

一人一人の違いを大切にし、その人なりの成長の可能性や変容を認め、尊重する
 
 子どもの感じ方や学び方はそれぞれ違います。多様なプログラムや学習の機会が用意され、個々人のペースにあわせた活動や学習ができること、それを認め、支援するかかわりが大切です。
 
 また、短期間のプログラムを行っただけで、ただちに全員が共通の理解にたったり、知識を身につけるといった拙速な効果・成果を求めても必ずしもそのとおりにいくとは限りません。
 
 地域でのさまざまな活動も視野に入れ、卒業後の期間も含めて一人ひとりが自分なりに理解し、納得していけるようなプログラム展開の工夫やフォローアップが必要です。
 

「一方的で画一的な考え方や価値観を指導者が教える」のではなく「一緒に考える」
 
 同じ体験をしたとしても、子どもによっては拒絶感や疑問を感じることもあります。その際、助言する立場にある先生やリーダーの人が性急に答えを与えてしまうと、かえってそうした感情が消化されないまま残ってしまうことになりかねません。
 
 そうした感情は排除するのではなく、まず受け止め、確認して、なぜそうしたことになるのか一緒に考えていくこと、その中で子どもたちがいろいろな価値観にふれ、子どもたちなりに気づき、考え、吟味することを手助けすることが大切です。
 

企画、活動、評価のすべての過程で、子どもたちの主体的な関わり・参画を促し、支援する
 
 以上のことがされるために、大人たちの思い込みによるお仕着せのプログラムではなく、プログラムの企画、実行、評価のすべての過程に子どもたちが主体的に関わるよう支援していくことが大切です。
 
 何よりも、既成の概念にとらわれない子どもたちの柔軟な感性は、助言する立場で関わる大人にも多くの気づきや学びをもたらすものです。「指導・助言するもの−されるもの」という立場を越え、子どもたちの主体的な関わりをえて、ともに活動し、考え、歩むという姿勢が求められます。

(3) 豊かなプログラムとするために
 
 私たちの経験から、プログラムを豊かなものとするために効果的であった視点や取り組みを次にしるします。
 
子どもたちが参加した企画や実施体制とする
 
 単に当日の活動に参加するだけでなく、企画段階から子どもたちが主体的に参加できる体制とし、当日のプログラムの運営も子どもたちが主体となるよう、小グループで役割を決めて展開する方法が効果的です。
 
 また、過去に体験プログラムを経験した子どもたちに、リーダーとして支援してもらうこともできます。
 

さまざまな立場の人が関わる

 
 一部の人たちでプログラムを企画・評価するのでなく、さまざまな立場の人が関わり、いろいろな観点から企画・評価をすることが大切です。
 
 具体的には、教員、ボランティア活動推進団体の職員、受け入れる施設の職員などに加え、例えば福祉サービスの利用者自身、子どもたち自身、さまざまな地域の人々などが考えられます。
 
 このように多く人たちにプログラムの企画・運営に関わってもらうことができれば、学校、コーディネート機関や受け入れ施設などに過度な負担をかけることなく、大きく活動を広げていくことができます。
 

対等な関わりをつくる
 
 福祉施設での活動や国際的な支援活動などでは、「何かをしてあげた」という一方的な経験にならないような配慮が必要です。
 
 例えば、福祉サービスの利用者自身に施設を案内してもらい、施設での生活を説明してもらう、その国の文化や芸術などを楽しみながらまなぶなど、子どもたち自身が学ぶ役割となるような工夫が求められます。
 
 また、こうしたことは一回だけの出会いではなかなか深めることはできません。手紙のやりとりをするなど、継続的な交流ができるような働きかけが有効です。
 

既成の概念をかえる
 
 例えば、「福祉サービスの利用者はかわいそう(その裏返しのイメージで「頑張っている」)」など、ステレオタイプの概念とならないように、最初にどのような出会いの場面を設けるかに十分配慮することが大切です。
 
 例えば、芸術、スポーツなどを介して出会うことなどは効果的です。
 

一人一人の多様さを体感する
 
 同じ体験をしても感じることは人それぞれ違います。また、例えば同じ在日外国人といっても、生活の背景などは実にさまざまです。
 
 プログラムが集合的に流れてしまうと、かえって画一的な偏ったイメージを固定化したり、助長することにつながりかねません。ゆっくりと話しをして、子どもたちが人の多様さを実感できるなどの工夫が求められます。
 

社会の環境・背景にも目を向ける
 
 例えば、車椅子の介助の体験だけをするのではなく、まちや施設の歩きやすさや利用しやすさを点検するプログラムを組み入れるなど、単なる体験や目の前のできごとへの対応をこえ、それをとりまく社会の環境や背景にも目を向けられるような工夫をすることが必要です。
 

活動を継承する

 
 体験学習に参加する子どもたちは毎年違っても、継続的に一つの地域や施設にかかわり、一つのテーマを持った作業に取り組むことによって、世代を超えて活動を継承することが可能となります。
 
 こうした工夫によって子どもたちは限られた期間で体験できること以上の目標と達成感を得ることができます。
 

グループの話し合いの場を設ける
 
 活動がおわった後などには、プログラムに参加した子どもたち、受け入れた施設や地域の人たち、関わったスタッフなどを交えて、活動をふりかえり、話し合う場を設けることが大切です。
 
 こうした話し合いによって子どもたちは自分たちなりの言葉・目線で考え、気づき、問題を共有することができます。
 
   以上、ボランティア体験学習、ボランティア活動の展開の視点についてまとめました。
 
 子どもたちが人としての生き方や生活の多様性や、人が人として同じようにもっている望みなどを体感し、それをかなえるために自分たちができることや社会のありようについて思いをはせる。そうしたことができるような深みと豊かさをもったプログラムであるためには、様々な人々、団体・機関の関わり、協働が欠かせません。 私たちはこうしたパートナーシップを広める努力をさらに続けていきたいと考えます。

 

   
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