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災害救援活動におけるボランティア支援のあり方・提言
〜これまでの救援活動から学んだことを通して〜

(1999年6月3日)

<目次>
はじめに
1. 阪神・淡路大震災以降のボランティアによる救援活動を通して学んだこと
2. 災害ボランティアセンターのあり方
 (1) 災害時のボランティア活動の原則
 (2) 災害ボランティアセンターの役割
 (3) 災害ボランティアセンターの立ち上げと運営
 (4) 行政との協働と支援の体制
 (5) 災害ボランティアセンターと他のボランティア団体等との協働
 (6) 都道府県域の災害ボランティアセンターの役割
3. 情報の的確な受発信のための体制・システム
4. ボランティア活動への資金支援

 

はじめに

 阪神・淡路大震災以降、比較的規模の小さな災害や局所的な災害でも、多くのボランティアが活動するようになりました。
 
 これら比較的規模の小さな災害は、毎年どこかでかならず起きる災害であるとともに、大災害に比較し行政や地域の諸団体が機能し得る分、そこにボランティアとの調整の機能がいっそう強く求められることになります。
 
 このためには特に被災地市町村において、被災者支援ニーズの把握、ボランティア関連情報の受発信、行政とボランティアの仲介、外部ボランティアの受け入れなどコーディネート機能を持った災害ボランティアセンターの存在が不可欠です。
 
 阪神・淡路大震災から4年が経過し、災害時のボランティア活動のあり方については、行政をはじめ、ボランティア団体、ボランティア関係機関などでそれぞれ整理がされつつありますが、いまだ具体的で充分なボランティア活動支援体制が整ったとはいえない状況です。
 
 「広がれボランティアの輪」連絡会議では、これらの災害においてボランティアによる活動が少しでもその持ち味を発揮していけるよう、阪神・淡路大震災以降の災害時のボランティア活動を振り返り、ボランティアによる災害時の救援活動のコーディネートを行う災害ボランティアセンターのあり方を中心に本提言をまとめました。
 
 より良いボランティア活動の支援体制が整っていくための一助になることを願っています。

災害ボランティアセンターとは
 
 災害ボランティアセンターとは、被災地域に臨時に設置される民営のボランティアセンター。
 
 被災地で活動する諸団体が相互に情報の共有や連携を持つための協議の場を提供することなどをとおし、さまざまな団体・機関による活動を通じて得られる被災者ニーズの総合的把握、ボランティア関連情報の受発信、行政との仲介や調整、外部ボランティアの受入れなど、総合的なコーディネートを実施する役割を担う。
 
 被災地では同センター以外に、避難所や被災地域すなわち被災現地そのもので活動にあたる団体等が個別のボランティアセンター的機能を有する場合があるが、ここでいう災害ボランティアセンターは、それらとは別に市町村レベルでの仲介・調整機能を指している。

 

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1.阪神・淡路大震災以降のボランティアによる救援活動を通して学んだこと

 阪神・淡路大震災によって、ボランティアによる救援活動の効果や重要性の理解が進み、その後の重油災害、風水害などでもボランティアによる救援活動が行なわれました。そこでの取り組みをみると、それ以前に比べ次のような改善がみられます。
 
 第一に、個々人が行動し、それを組織・団体レベルで支援する取り組みが行なわれるようになってきていることです。1997年の重油災害では約30万人、1998年の風水害では約1万5千人のボランティアが救援活動を行ないました。また、このボランティアの活動を支えるために、学校や企業等ではボランティア休暇等による活動の認知や支援が行なわれるようになっています。
 
 第二に、社会全体に災害救援活動におけるボランティア活動の重要性の理解が進み、体制整備や社会的な支援が行なわれるようになっていることです。郵便局、共同募金会、助成財団による資金支援のプログラム、災害救援活動にも対応できるボランティア保険の開発などが行なわれました。ボランティアコーディネーターの重要性への理解も進み、各地域で配置や研修が充実しつつあります。
 
 第三に、阪神・淡路大震災の教訓がいかされ、救援活動が改善されていることです。例えば、災害発生後できるだけ早く現地に連絡し訪れること、できるだけ現地に負担をかけないよう食料や寝袋を持参することなどがみられました。また、情報の重要性が認識され、さまざまな情報がリアルタイムに全国に発信されるようになりました。
 
 特に、地元の団体を中心に外部の救援活動団体と地元団体との間を調整する仕組みが設けられ、効果的な救援活動が行なわれたことは大きな改善です。
 
 しかし一方で、阪神・淡路大震災の教訓が十分にいかされなかった問題点や新たな課題も明らかになりました。
 
 第一は、ボランティアコーディネーター等の専門的な人材の必要性です。各地で災害対応策が検討され、ボランティア・コーディネーターの養成も進みつつありますが、実際に災害救援活動を経験したコーディネーターはまだ少数です。日常のコーディネートの業務をベースにしながらも、特に災害時には、状況に応じたすばやい判断・対応やプログラムの開発・変更・中止等が必要であるため、意識的に訓練の機会を設ける必要があります。
 
 第二に専門家との連携の必要性です。災害時にはさまざまな専門家のチームによる判断・協力体制が必要ですが、これらとボランティア活動との連携はまだ十分ではありません。例えば、重油災害時にはガス等が発生し危険な状態でしたが、ボランティアや住民の健康管理には課題を残しました。災害救援活動は危険を伴いがちであり、またプロでなければすべきでないことも多くあるため、さまざまな専門家による判断や助言を受け、これらと連携しながら、ボランティア活動が行なわれることが極めて重要になります。
 
 第三は情報受発信のシステムを早期に構築することです。さまざまな情報が全国に向けて発信されるようになった反面、全国の不特定多数にむけて発信されても必ずしも効果的ではない情報が多くみられました。
 
 例えば、不足している物資があるといっても、その状況は刻々変化していきます。この種の情報が全国の不特定多数の人に発信され、個々人が個々別々に被災地に送っても充分にいかされないばかりか、かえって被災地の負担になる場合もあります。
 
 ボランティアについても、マスコミに大きくとりあげられた地域にボランティアが集中し、必要性がある他の地域にはボランティアがほとんどいかなかったことががみられました。また、必ずしも遠隔地からボランティアを募集するほどの必要性はなく、県内の近隣市町村からのボランティアの支援で充分な場合でも、ボランティア募集のニュースが全国にむけて発信されることもありました。
 
 さまざまな情報が自由に発信されることは望ましいことでもある反面、情報を発信する側が誰にむけて発信するかを充分に取捨選択するとともに、情報を受けた側が本当に現地に必要かどうかを別の方法で確かめられるためのシステムが必要となります。
 
 第四は、今後もボランティアによる救援活動が有効に展開されるための文化的な素地を創造していく必要性です。これまでの災害でも、外部からのボランティアの支援があればよりよい救援活動が展開できる余地があってもその必要性に気づかなかったり、受け入れることに躊躇した地域もありました。
 
 災害時には日頃からの地域内の自助・自治活動を基本にした支えあいの仕組みや土壌ををつくっておくことが非常に大切です。それと同時に、災害時にはそれだけで対応しにくい外部からの支援が必要になることが多くあります。さらに、現実的には、他地域からボランティアを始めとするさまざまな支援の申し出が必ずあるはずです。
 
 ですから、各地域で日常的にボランティア活動が行なわれる状態をつくっておくとともに、一人一人が互いに支え合う経験を重ね、外部の活動団体とも連携し、力をあわせて救援活動に取り組めるような文化や仕組みを各地域に根づかせていく取り組みがまだまだ必要です。
 
 このためには、ボランティアやボランティア活動推進団体の側も、相手の立場や習慣を尊重して物事を考え、行動するといったボランティア活動の原点から、今一度、これまでの救援活動のあり方を検証することが求められているのではないでしょうか。
 
 こうした評価のうえにたって、以下に、災害ボランティアセンターのあり方、情報受発信のシステム、資金支援のあり方について提言をとりまとめました。

▲UP

 

 

2.災害ボランティアセンターのあり方

(1) 災害時のボランティア活動の原則

 災害時のボランティア活動は、あくまでも被災者の自立、復旧支援の立場から行われるべきものであって、救援活動を担うボランティア関係諸団体・機関は、この趣旨の下に自らの活動を行い、相互に協力するよう努めることが大切である。
 
 ボランティアによる的確な被災者救援活動が行われるためには、被災者を尊重し、自立と自己復旧の能力を支えることが大切であり、救援活動に携わるすべてのボランティア、ボランティア活動団体、ボランティア活動推進団体、関係諸機関等は、この趣旨の下に自らのボランティア活動を展開し、さらにはボランティア活動の支援に臨むことが必要です。
 
 災害時のボランティア活動は、被災者や被災地の状況が刻々と変化していくことから、活動を開始する時期や期間を見極めることが大切であり、ボランティアの参加がかえって被災者の生活の自立、復旧等に負担になると予測される場合には、自ら活動の制限や停止をする判断も求められます。
 
 また、特に被災地の中で社会的に孤立しやすい高齢者、障害者、子ども、外国籍の人などを早期に発見し、孤立を防ぎ、必要な支援を提供するとともに、これらの人々の側に立った問題・課題の発見や提起にボランティアの固有の役割があることを自覚し、活動にあたることが求められます。
 
 これら活動の展開にあたっては、被災地の実情、地域の特性、被災者ニーズ等を的確にとらえること、支援プログラムの実施にあたっては、計画、運営、実行に被災者の観点が生かされ、さらにはまた参加を得て実施されることが必要です。

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(2)災害ボランティアセンターの役割
 
ボランティアによる救援活動の総合的なコーディネートのため、被災市町村に早期に災害ボランティアセンターを設置する必要がある。
 
 災害ボランティアセンターは、ボランティアによる災害救援活動が被災地住民による自治的な活動や公的な専門的活動と相まって、より有効なものとするために設置されるものであり、ボランティアによる活動が必要となる早い段階からの設置が望まれます。
 
 災害ボランティアセンターは、被災地で活動する諸団体が相互に情報の共有や連携を持つことができるよう協議の場を提供することなどをとおし、さまざまな団体・機関による活動を通じて得られる被災者ニーズの総合的把握、ボランティア関連情報の受発信、行政との調整や仲介、外部ボランティアの受入れなど、総合的なコーディネートを実施する役割を担います。
 
 このような機能は、特に被災者、被災地への全体的かつ公平な対応を最優先しなければならない地元行政機関が直接的に行うよりは、ボランティアや被災者への個別的で柔軟な対応が可能な民間により設置運営されることが望ましいといえます。
 
 災害ボランティアセンターの中心的な機能は、救援活動を行うボランティア団体(ボランティア)、行政や地元住民組織等とボランティア団体(ボランティア)の中間にあって、それらの活動が円滑かつ効果的に実施されるよう調整すること(コーディネート機能)ですが、災害ボランティアセンターが、直接に救援活動を展開する機能(オペレーション機能)を兼ねる場合も多くあります。

<災害ボランティアセンターと他地域からの支援活動の関係>

「災害ボランティアセンターと他地域からの支援活動の関係」の図


<被災地の災害ボランティアセンターの役割 >

「被災地の災害ボランティアセンターの役割」の図

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(3)災害ボランティアセンターの立ち上げと運営
 
市町村に設置される災害ボランティアセンターは、その市町村の民間の諸団体が中心となり、外部からの救援活動の受け皿をつくり、被災地の住民、行政の意思が反映され、認知された中で設置・運営されることが望ましい。
 
a. 災害ボランティアセンターの担い手
 
災害ボランティアセンターの立ち上げには、下記のような基本的要件を満たす団体が中心的役割を果たすことが望まれます。
 
(1) 被災地域の諸事情に詳しく、人的、組織的ネットワークを持っていること。
(2) 被災地の行政機関との信頼関係がある、または作ることができること。
(3) 被災地の中で中立的な立場を保つことができること。
(4) ボランティア活動についての豊富な知識、経験を有していること。
(5) 集団や組織のマネージメントができること。

 災害時に災害ボランティアセンターが効果的な役割を果たせるためには、平常時から災害ボランティアセンターの位置づけが明確になっていることが肝要です。
 
 このため市町村にある民間の諸団体すなわち、ボランティア活動推進団体、ボランティア活動団体、市町村諸団体、地縁団体、地域ネットワークあるいはその連合体が、その地域の特性にあわせて平常時から顔の見える関係を作り、いざというとき中核的な役割を担うことが期待されます。

b. 災害ボランティアセンター立ち上げの準備
 
災害発生後のはできるだけ迅速に、行政機関の災害対策本部、被災者支援のボランティア活動に関わる被災地内外の団体等が協議の上、災害ボランティアセンター立ち上げの手順、業務内容を決め始動することが肝要です。
 
 災害ボランティアセンターの立ち上げの準備期間は、個々のボランティアが直後から被災地に入り始めることなどの状況により、災害発生後の2〜3日間程度しか猶予が与えられない場合が多いと考えられます。こうした短期間に、準備されねばならない事柄には下記のようなことが考えられます。
 
(1) 拠点の確保
事務局スペース、会議・オリエンテーションスペース、倉庫スペースは必要。
(2) 備品の確保
事務・会議用品、地図、電話、OA機器、コピー機、印刷機など。
(3) 移動・運搬手段の確保
(4) 活動資金の確保
(5) マンパワー(コーディネーター等)の確保
(6) 被災地内外の関係諸機関・団体との連絡網の整備
(7) 被災状況と被災者のニーズの把握
特に孤立している高齢者、障害者、子供、外国人などの状況把握
(7) ニーズ対応、ボランティア対応システムの整備とマニュアル作成

c. 災害ボランティアセンター立ち上げの留意点
 
災害ボランティアセンターの立ち上げに際して、トラブルとなりやすい点、留意すべき点には下記のような事柄があります。
 
(1) 複数の災害ボランティアセンターが立ち上げられると、力が分散され被災者やボランティアに混乱が生じるなどの問題が生じる。このため災害ボランティアセンターはできるだけ一本化されることが望ましい。複数になる場合には、役割分担の明確化と相互補完的なシステムの確立が求められる。

(2) 災害ボランティアセンターの立ち上げ、運営には、地元において行政をはじめとして、関係諸機関・団体との間で、災害ボランティアセンター立ち上げのプロセスと業務内容を協議する場を持つことが望ましい。

(3) 災害ボランティアセンターの立ち上げ・運営にあたっては、常に当該センターの活動の終息時期を念頭に置きながら、業務を遂行していくことが求められる。
これを怠ると、後に被災者の自立の妨げ、ボランティアの滞留、多大な余剰救援物資の処理といった問題を引き起こすことになる。

(4) 終息時期まで災害ボランティアセンターがその役割を果たせるよう、立ち上げ・運営にかかる資金や物資については計画的な運用が求められる。
災害ボランティアセンターは短期決戦型であるため、実際には資金の確保ができる前に活動を展開しなければならないことが多い。このため、災害ボランティアセンターへの理解と資金提供の枠組みを設定しておくことが必要である。

(5) 立ち上げから終息にいたるまでのセンターとしての活動の経過、会議録、ニュース等の記録や会計帳簿を管理する体制をつくり、保管しておくことが求められる。
このことは、センター内での業務の引継ぎ、資金・資材管理、活動に対する評価、情報の透明性といった点から極めて重要である。

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(4) 行政との協働と支援の体制

 行政は、災害ボランティアセンターの意義と役割を踏まえ、災害ボランティアセンターと協働できるような行政側の体制をつくる必要がある。また、平常時から当該地域の実情にそった中で、民間団体等を主導に災害ボランティアセンターが位置けられるよう、種々の側面的な支援を提供することが重要である。
 

 災害ボランティアセンターが地域の中でその機能を発揮するためには、災害ボランティアセンターは当該地域にできるだけ一本化されていることが望ましく、またその役割が行政をはじめ関係諸団体・機関から基本的に認知されていることが不可欠な条件です。その上ではじめて行政等と災害ボランティアセンターとの協働が円滑になります。
 
 このため、まず行政の地域防災計画の中にこれら災害ボランティアセンターの位置づけや連携のあり方、災害ボランティアセンターに対する支援内容等について明確に記載しておくことが大切です。この際は、市町村行政と都道府県行政間や都道府県域の災害ボランティアセンターとの連携方策についても明確化する必要があります。
 
 また、被災者・被災地の状況やボランティア関連情報、行政の復興施策に関する情報等が、災害ボランティアセンターの窓口となる部局を通じ、災害救援を統括する災害対策本部等との間で双方向に円滑に流れることが、災害救援活動の中でボランティア活動の役割や持ち味が発揮されるために大切です。
 
 そこで、災害ボランティアセンターの窓口となる行政の部局を平常時から明確にするとともに、行政内部において災害対策本部を始めとする各部署との調整が図られるよう、緊密な連絡・調整の体制をつくることが求められます。
 
 なお、災害ボランティアセンターは民間主導で設置・運営される必要がありますが、行政としても、可能な限りその設置に向けて、人材、資材、場所、資金、情報の提供など側面的な支援を行うことが求められます。また、場合によっては、行政がその実現に向けて初期段階ではきっかけを作り、民間の諸団体とともに災害ボランティアセンターを位置づけることも必要です。

(5) 災害ボランティアセンターと他のボランティア団体等との協働

 被災地で活動する民間団体、ボランティア団体等は、災害ボランティアセンターの役割・機能を重視し、協働することが望まれる。
 
 災害時には、さまざまなNGO、NPO、ボランティア団体等がそれぞれの団体の理念や目的の下に被災地の現場で直接様々な活動を展開することが予想されます。これらの団体は、基本的には活動場所、活動時間帯や役割を分担して被災者救援活動を展開しますが、一旦活動が開始されると、かならずしも充分な情報の共有等が行われるとは限りません。
 
 被災地の行政や諸団体と十分に連携し、より効果的でむだのないボランティア活動が展開されるには、これら団体間の役割と相互の連携を確認していく場が不可欠であるとともに、それぞれの団体の活動から得られる最新の情報−被災者の状況、団体の活動状況、今後の活動方針など−について、当該地域の中で共有・集約され、全体的な視点で諸活動が適切に推進されるよう調整・支援する災害ボランティアセンターの機能は極めて重要です。
 
 特に外部から被災地に入るボランティア団体等は、事前に地元の災害ボランティアセンターと充分な情報の交換を行い、災害ボランティアセンターと十分に協働する必要があります。

(6) 都道府県域の災害ボランティアセンターの役割
 
 都道府県域に設置される災害ボランティアセンターは、市町村域の災害ボランティアセンターを様々な形で支援する存在として重要である。さらに広域的な災害時には、複数の市町村域の災害ボランティアセンターに対して情報・支援の拠点として重要な役割を担う。
 
 都道府県域の災害ボランティアセンターには、災害発生直後に現地調査し、被災市町村とともにボランティアによる救援活動の要不要の判断を行うこと(これに要する要員の派遣や、県行政や専門家・機関との連携・調整)、市町村域の災害ボランティアセンターの立ち上げ、運営の直接支援、県行政や近隣市町村との間の情報の受発信、マスコミ対応、広域の救援活動団体(学校、協同組合、企業・労組、NGO、NPO)やそれらのボランティアネットワークとの連携など、市町村の災害ボランティアセンターをバックアップする重要な役割があります。
 
 また、近隣の都道府県域のボランティアセンター、全国レベルの救援活動団体、ボランティア活動推進団体、助成団体等外との連携・調整体制をつくることも重要な役割となります。
 
 さらに、より広域的な災害時においては、市町村域の災害ボランティアセンターがそれぞれ個別に対応していくだけでは、十分な救援活動は展開できず、また、都道府県域全体としての視点が欠けたものになりかねないため、各被災市町村の災害ボランティアセンターからの情報を受け、情報を整理して都道府県外に対しての情報の受発信を行い、ボランティア支援や物資等の不足を補ったり、逆に過剰な支援を避けたりする都道府県域での災害ボランティアセンターの調整機能は不可欠です。
 
 都道府県域での災害ボランティアセンターについても、市町村の場合と同様、平常時から都道府県域を活動領域とするボランティア活動推進団体、民間団体、ボランティア団体、あるいはそれら団体の複合体や広域ボランティア・ネットワーク等をベースに設置が進められることが望ましいとともに、都道府県行政が認知し、支援していくことが重要です。

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3. 情報の的確な受発信のための体制・システム

(1) 市区町村の災害ボランティアセンターでの情報集約・共有機能

 より効果的な救援活動が行なわれるよう、現地の災害ボランティアセンターは情報の集約・共有の機能を持つ必要がある。
 
 被災者や地域の状況は刻々と変化し、ボランティアに求められることも変わります。直接被災者に接するボランティアがより正確に被災者の状況を把握したり、見落とされがちな問題に気づいたりすることもあります。そこで、現地の災害ボランティアセンターは、救援活動に関わる諸団体が一同に会する場を設け、それぞれの団体が発見した課題を共有したり、被災者のニーズに対応したプログラムをつくりだしたり検討する機能を提供することが大切です。
 
 また、特に、行政による被災者支援の措置、医療、ガス、電気その他の専門家・機関による支援、学校や企業等による組織的なボランティアの派遣や救援物資、資金支援等によっても、現地で必要とされる救援活動の内容や進め方が変わっていきます。災害ボランティアセンターは、行政や専門機関等の参加も得て、ボランティアによる救援活動に必要な情報の集約や調整を行なうことが求められます。

(2) 情報受発信のための体制・システムの確立
 

災害ボランティアセンターを中心に、情報の受発信のためのシステムを早期に確立する必要がある。また、その際は、現地の災害ボランティアセンターをバックアップする広域の災害ボランティアセンター・支援機関(ネットワーク)の役割が大切となる。
 
 被災地での救援活動にあたる活動団体が様々な情報を全国に発信したり、現地の様子が報道されることは、より多くの人々の関心を喚起し、支援を広げるうえで大切なことです。
 
 しかし、不注意な発信から被災地の人々の不信を招いたり、活動団体の意向と支援する人々の意識とのずれをうんだり、不特定多数に発信されたために予期せぬ大きな反響を呼び、かえって現地の救援活動の妨げとなる場合もありえます。
 
 例えば、物資については求められるものを送り手となる地域の方で取りまとめたり、企業等が一括して輸送することが効果的です。また、重油の回収作業等のようにより計画的にボランティア派遣を行っていくことが必要な場合についても、毎日不特定のボランティアが集まってきてしまう場合があります。
 
 このため、市町村の災害ボランティアセンターを中心に、発信すべき情報の内容や発信する相手先を慎重に取捨選択し、また外部救援・支援活動に関する情報の窓口となるための情報の受発信のための体制・システムを早期に確立することが重要です。
 
 この際、特に、広域の災害ボランティアセンター・支援機関の役割が重要です。救援活動に追われる現地の災害ボランティアセンターが、一般の人々や諸団体の問いあわせなどに対応することは大きな負担となり、本来求められる救援活動が充分に行なえなくなります。また、マスコミに客観的に情報を伝え、支援を要請することも重要です。
 
 広域の災害ボランティアセンターは被災地の災害ボランティアセンターと充分に連絡をとり、さまざまな問いあわせやマスコミへの対応・調整などを行なうことが求められます

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4. ボランティア活動への資金支援

(1) 救援活動の展開期と資金ニーズに応じた支援プログラム
 
  個々のボランティア団体や災害ボランティアセンターに対して、救援活動の展開時期を踏まえ、より充実した資金支援が助成団体に求められる。特に、災害発生直後の立ち上がり時期の資金支援プログラムが検討される必要がある。
 
 資金ニーズは災害救援活動の展開期によって異なりますが(別表)、特に被災地へ急行するための旅費、被災地の災害ボランティアセンターを立ち上げるための資金など、災害発生直後の立ち上がり時期にかかる資金手当ての必要性がこの間の複数の災害で指摘されました。
 
 ボランティア活動推進団体がそれぞれに、あるいは協力して、このための資金を積み立てることも行われるようになりましたが、各団体の手持資金による対応では限界があります。即応性を踏まえた共同募金会、助成財団等の助成プログラムの一層の充実が望まれます。
 
 また、救援活動が早期に終了したために寄付金等が残留することもありえます。これまでの災害では、以前に災害があった地域から被災地にボランティアなどの人材や救援物資、義援金などが積極的に寄せられました。こうした相互扶助活動の新しいかたちの一つとして、立ち上がり資金も含む柔軟な資金支援が可能となるよう、災害の終息時期にそれぞれの助成団体が資金を積み立てたり、救援活動団体や助成団体がより公共性の高い団体に基金として集約するなど、次に起こるであろう災害に備えた連続した仕組みの検討と実現が期待されます。

(2) 活動主体の性格に着目した助成プログラム
 
災害ボランティアセンターの機能をいかし、団体の性格に着目した資金支援プログラムを開発する必要がある。
 
 個々のボランティア団体への資金支援や助成プログラムがかなり行われるようになってきましたが、今後は、これとは別に被災地のあるいは都道府県段階などの広域の災害ボランティアセンターに対する資金支援や助成プログラムの実現が待たれます。
 
 センターの役割や機能に着目すると、これらのセンターが個々のボランティア団体の資金面の受け皿となる助成プログラムが考えられます。この際、センターが次の機能を十分に果たすためにも管理経費を含む資金支援とする必要があります。
 
 「受け皿」の内容としては、次の2点が考えられます。
 
 第1には、たとえばコピー・ファックスなどの機器・用具や打合せ場所など、個々のボランティア団体に共通した資金ニーズを、災害ボランティアセンターが代表した形で助成を受け、センターが個々のボランティア団体に提供する仕組みです。
 
 第2には、災害ボランティアセンターが、センターとしての活動資金とは別に、個々のボランティア団体に共通した活動資金を一定の枠内で預かり、個々のボランティア団体に必要な資金を提供する仕組みです。
 
 資金支援の即応性や効率性を担保するために、そして支援の際のリスクを避ける意味合いから、活動団体側と資金支援側双方でより良いプログラムの開発を進める必要があります。

(3) 助成団体間の連携
 

  複数の助成団体が同一の活動団体に過度の重複助成となることを避けたり、被災地での資金ニーズの状況把握など、被災地での効果的な資金支援を充実していくためには、助成団体間の連携が必要となる。
 
 連携の一つとして、資金支援の申請団体情報をはじめとした、救援活動団体間の情報交換を進めるなど情報の共有に向けたとりくみが挙げられます。ボランティア団体によっては、助成率との兼ね合いや活動規模の増大などから複数の助成団体に重複した申請を行うケースも想定されます。それぞれの団体の助成方針を尊重し合いながら、被災地での効果的な活動支援のためにも、たとえば助成団体間で助成が決定した団体のリストの交換等から情報交換をはじめてみることも考えられます。
 
 さらに、今後は、従来の義援金募集とは別に、募金機能をもつ団体が連携・協働して、救援ボランティア活動支援のための募金活動を展開することの可能性について検討が行われることを期待します。この際、市民の理解を得るためにもメディアの協力は重要な要素となることは言うまでもありません。
 
 災害という即応的な対応が求められるときだからこそ、募金団体、ボランティア団体それぞれが、「餅は餅屋」といった専門機能を最大限発揮し得る役割分担を図っていくための論議が必要になってくると考えます。

(4) ボランティア団体、災害ボランティアセンターの説明責任
 
資金の受け手となるボランティア団体等には、資金の計画的な運用や説明責任(アカンタビリティ)が求められる。
 
 助成財団等からの支援の場合、活動費全額への助成は通常は行われないので、自己資金相当分の資金手当ての方法を助成申請前に予め見当をつける必要があります。
 
 その際に、活動経費の中で個々のボランティアに自己負担してもらう経費と資金支援を予定する経費の区分を想定しておくことも重要となります。
 
 さらに、自己資金としてカンパや寄付要請を行う際には、事前、事後の報告と情報の開示といった説明責任(アカンタビリティ)が伴うことを念頭に置く必要があります。会計担当者を決めておくことをはじめとして、寄付者などから求められた際には、寄付の状況やその使途などの情報を提示できるよう資料の整理をしておくことも大事になります。
 
 直ちにできることとして、たとえば、電話を保留したときに流れる音楽の代わりに、寄付の状況やその使途などについて短いコメントを吹き込んでおくことなど、活動の展開の中で、負担がかからない方法で始める工夫が大切です。

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